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niusi

 かつて私は小説の新人賞という入試の前に立たされ、周りにもまあ期待され「就職するよりはやく小説家になったほうがいい」とまでせっつかれてきましたが、書こうと思えば思うほど、ひとつの指標に収斂する苦しさに嫌気がさし、というかほとんど体が麻痺する形で小説からはいったん遠のいたのでした。

私の好きだった小説とは口ん中で泡を転がすようなひとり密かな甘美な幸せであったのに、奪われた。
たぶん私が奪ってしまった。
理由をつけて馬鹿どもに奪わせてしまった、焼け爛れた言葉の相貌に、いま、ここにはない代理の顔を作ろう、とおもう。

報いも慰めもいらない。
呪いも弔いもいりません。
わたしが苦しくなるだけですから。


やっと抜け歪にダンスしている小さな白乳を、ててご、ははごに見せつけた。
綴りまちがえのその顔をおもいだして、おもいだして。

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