重力と恩寵/シモーヌ・ヴェイユ
家出したときにポスティングのバイトをやって身銭を稼いでいたのですが、休憩時間に公園で開いていたのが『重力と恩寵』でした。困難の中にいるとき、自分の体はだんだん重くなっていきますが、同時に神聖にもなっていく。
ダメなところで生まれて頑張ってもその先ぜんぜん辛くて、頑張ってやっと人並み以下の人生しか手に入らなかったな。狭い部屋で思うんですけれど、辛かったことを対価にも代償にもせず、かわいそうの文脈で自分を語るのを我慢して、ストイックに生きた分だけ、向こうで普通に笑っている人の持っている苦労とか辛さとか眼に見えるようになったので、もっと分厚くて神聖で、気迫のある、天使の羽が生えた、ただの人間になっていきたい。ヴェイユを読むと、そう勇気づけられます。
たとえこの身が汚泥となりはてようと,なにひとつ穢さずにいたい──絶え間なく人間を襲う不幸=重力と,重力によって自らの魂を低めざるをえない人間.善・美・意味から引きはがされた真空状態で,恩寵のみが穢れを免れる道を示す.戦火の中でも,究極の純粋さを志向したヴェイユの深い内省の書.その生の声を伝える雑記帳(カイエ)からの新校訂版
[目次]
凡 例 一 重力と恩寵 二 真空と代償作用 三 真空を受けいれる 四 執着を断つ 五 埋めつくす想像力 六 時間を放棄する 七 対象なしに欲する 八 自我(モワ) 九 脱-創造(デクレアシオン) 一〇 消えさること 一一 必然と従順 一二 幻想 一三 偶像崇拝 一四 愛 一五 悪 一六 不幸 一七 暴力 一八 十字架 一九 天秤と梃子(てこ) 二〇 不可能なもの 二一 矛盾 二二 必然と善とを分かつ懸隔 二三 偶然 二四 愛すべきものは不在である 二五 浄めるものとしての無神論 二六 注意と意志 二七 馴致 二八 知性と恩寵 二九 読み 三〇 ギュゲスの指輪 三一 宇宙の意味 三二 仲介(メタクシュ) 三三 美 三四 代数学 三五 「社会の烙印を……」 三六 巨獣 三七 イスラエル 三八 社会の調和 三九 労働の神秘 訳 註 訳者あとがき 略号対照表
